今回は、1級建築施工管理の第二次検定における施工経験記述の書き方を紹介したいと思います。
施工経験記述は、自分自身が経験した現場施工における記述となりますが、自分が経験したこととはいえ、指定された課題に則って文章を書くとなるとすんなり書けないですよね。
しかし、第二次検定の合否は施工経験記述で決まると言っても過言ではないぐらい大事な設問なので、絶対に落とす訳にはいきません!
私が合格した時の「記述、及び自身が経験した現場」で、課題ごとに施工経験記述を作成しましたので紹介します。
1級建築施工管理(第二次検定)施工経験記述の概要説明
作成及び書き方を紹介する前に、簡単に施工経験記述の概要を説明しますね。
毎年「品質管理」「建築副産物対策」「施工の合理化」の3つの課題がランダムに出題。
基本、各課題が連続出題されることなく「順番通りに出題」される傾向ですが、近年は隔年で出題されることもあります。
例:2018年度に「建築副産物対策」・2019年度に「品質管理」・2020年度に「施工の合理化」など。
まだ過去一度も同じ課題が連続で出題されたことはありませんが、今後も絶対ないとは言い切れないかもしれませんね。
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それでは、次項より各課題ごと説明していきますね。
施工経験記述:品質管理
施工経験記述の設問は「問1と問2」と2つですが、その中でそれぞれ分かれます。
まず、1つ目「品質管理」の施工記述から紹介!
【問1・例題①】
[工種名] アルミサッシ取替え工事 [重点品質管理項目] 建具回りの防水モルタルの充填状態 [要求された品質] 外部建具回りからの漏水防止 [取り上げた(定めた)理由] 外部建具回りの防水モルタルの充填が不十分だと、金属製建具の動きにより周囲のシール材が破れた場合、建具周りからの漏水の原因となる為。 [実施した内容] 施工箇所の清掃状況・モルタルの充填状態を確認し、不良部分は図面に記入し是正を指示した。硬化後施工業者と共に目視や触診でチェックするだけでなく、散水テストを実施してチェックリスト・写真で記録に残した。※ [ ] 内は、要求概要
【問1・例題②】
[工種名] 内装工事 [重点品質管理項目] 異種下地取合い部処理方法の確認 [要求された品質] ビニルクロスのひび割れを防止する [取り上げた(定めた)理由] LGS下地とGL工法取合い部等、異種下地の挙動の違いによってまたぎ張りしたビニルクロスにひび割れが発生する恐れが有る為。 [実施した内容] 工事監理者と協議し、異種下地部分には目地を設けて、ビニルクロスの縁を切ることで、ひび割れを防止した。
【問2・例題】
[どのように行ったら良いか] :QC工程表に従い各工程ごとに協力業者の自主検査、自社の社内検査を徹底し、是正項目があればその手直し完了を確認後、次工程にかかる体制造りが必要である。 [どのような効果が得られるか] :品質の良い建物を提供することは、施工者にとって技術力の蓄積や向上になると共に、今後の受注紹介の向上、及び企業の安定経営にも寄与する。
施工経験記述:建築副産物対策
次は、2つ目「建築副産物対策」です。
【問1・例題①】
[建設副産物対策] 発生抑制 [工種名] 防水工事 [実施した留意事項] 施工計画の段階で監理者と協議し承認を得て、既存アスファルト防水を全面撤去して行う工法から、防水層を撤去せずに既存防水層の上から被せる改修工法に変更した。 [副次的効果] 既存防水層の撤去を行わない為、アスファルト防水廃材の発生を抑制出来たと共に、撤去作業や荷下ろし作業がなくなり、大幅な工程短縮となった。
【問1・例題②】
[建設副産物対策] 再生利用 [工種名] 塗装工事 [実施した留意事項] 外壁塗装用の使用済みの塗料缶を、付着した塗料を溶剤できれいに落としてから他の産業廃棄物と分別回収し、リサイクル業者に引き取りを依頼した。 [副次的効果] 使用済みの塗料缶を再生利用することで、資源の循環的利用という企業の社会的責任を果たすことが出来たと同時に、産業廃棄物の処分費の削減効果もあった。
【問2・例題】産業廃棄物の適正処理
[行ったこと] :収集運搬業者、最終処分業者の許可証を確認すると共に、マニュフェストのE票により、予定の経路で適正に処分されたことを確認した。 [留意事項] :収集運搬能力や最終処分処理施設の事前確認など、マニュフェストのE票による適正処分の確認に留意した。
施工経験記述:施工の合理化
最後は、3つ目「施工の合理化」です。
【問1・例題①】
[工種又は部位等] 外壁打放し面 塗替え工事 [合理化を行った目的と実施した内容] 雨天が続き、工期が延びる可能性が出た為、外壁塗替え工事を監理者と協議し承認を得て、ローラー工法から吹付け工法に変更した。 [実施した内容が合理化に結び付く理由] 吹付け工法はローラー工法と比較して施工能率が高く、仕様書の要求品質も満たすことが出来、塗装工程を大幅に短縮できる為。 [実施した内容が品質を確保できる理由] 塗装工の技量が仕上げ品質に影響するローラー工法に比べ、吹付け工法は塗りムラが出にくく、バラツキのない品質を提供できる為。
【問1・例題②】
[工種又は部位等] 鋼製建具取替え工事 [合理化を行った目的と実施した内容] 省力化の為、鋼製建具の取替え工法を監理者と協議し承認を得て、撤去工法から既存外周枠を残すかぶせ工法に変更した。 [実施した内容が合理化に結び付く理由] 撤去工法から、かぶせ工法に変更することで、建具の撤去補修及び展示物の移動、養生等の軽減が出来、大幅な省力化となる為。 [実施した内容が品質を確保できる理由] 既存の躯体を斫(はつ)らない為、建具枠周囲の外壁躯体損傷による漏水の危険を回避できる為。
【問2・例題】
[施工方法]: 建具材などの造作材については、工場で仕上げまでされた工場生産品を採用し、現場では取付けのみとして行く。 [その理由]: 現場での加工・塗装作業を大幅に軽減することによって省力化に繋がったり、端材の発生も無く、つけの手間の軽減および建設資材廃棄物の縮減にも効果があると考えられるから。
施工経験記述:教材の有効利用
上記はあくまで私が試験時に記述した「内容及び、現場経験した記述」となっているので、必ず正解という訳ではありません!
なので、市販されている教材を利用して・・「解答例を確認・活用」することもポイントかと。
ここで、お勧めのテキストと過去問題集を紹介!
お勧めのテキストは、GET研究所の「スーパーテキスト 1級建築施工管理技術検定 第二次検定」です。
実用性の高いテキストとなっていて、更に無料の動画解説がついているので、理解度を高めるのに最適!
過去問題集は、地域開発研究所の「1級建築施工管理第二次検定問題解説集 2021年版」です。
過去10年の問題及び解説が収録されており、過去の出題に対する解答例も充実しているのでとてもお勧めです。
施工経験記述:近年の出題傾向
概要説明でも紹介しましたが、以前は「品質管理・副産物対策・施工の合理化」が、3年に1度ずつ出題されていました。
近年は順番が入れ替わったり、同じ課題(品質管理 等)であっても指定項目( [ ]内の項目 )の内容が変わったりして出題されています。
なので、対策としては上記の記述や過去問題集の解答例などで、まず基本となる記述を決めておきます。
その上で、違った課題や項目が出題された時は、その場で変更をするというやり方で対応した方が良いと思います。
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1級建築施工管理(第二次検定)施工経験記述のまとめ
以上、私が「合格した時の記述」及び「自身が経験した現場経験の記述」となります。
出題傾向が変わることはありますが、過去の出題パターンから大きく変更になることは無いかと。
過去のデータから予想して、今年度の一番出題確率の高い記述(課題)から取り組んで見てください。
この記事を参考にして一人でも多くの方が合格して頂ければ幸いです。
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